玲瓏の奈落

お金もない中学生の時に、入り浸っていたのが古本屋でした。
普通のマンガが読みたくても、新刊では高くて手が出ず…
古本屋へ行けば、当時１００円でマンガ本買えたので頻繁に利用していました。

中学を卒業して間もないある日。
いつものように古本屋へ行くと…
店内の模様替えをしたのか？
いつもマンガ本を陳列してある本棚が、アダルト本の本棚に変わっていました。
さすがに中学生のボクは『これはマズイ』と思いましたが、１冊の本に釘付けになりました。

『ＳＭファン　11月増刊号　ＳＭプレイ情報』

SM雑誌でした。
表紙には女王様らしき方が籐の椅子に腰掛て、今にも鞭を振り下ろさんばかりの写真…

欲しい！と思ったのですが、コチラは中学生を卒業したばかりで…。
この手の雑誌は、いくら古本屋とは言え売ってくれそうにありません。

が、しかし、ラッキーな事に…
当時の古本屋は、売れなかった雑誌を３冊まとめてビニールで梱包して売る店があって…
まさに欲しかったＳＭ誌は、別の２冊の少年誌と共にビニールで梱包されていたのです。
即座にＳＭの表紙を裏にして、少年誌が見えるように店のおじさんに渡しました。
おじさんは、表紙の少年誌を確認しただけで、厚手の紙袋に３冊セットの雑誌を入れてくれました。
購入成功！

さっそく家に帰って中身を見ると…
当時としては珍しかったんではないでしょうか？
縛られるＭ女とともに、責められるＭ男の写真が…
しかも、小説やマンガにまで女王様とＭ男の物語があったんです。
美芸会の立花冷子女王様のインタビューなどなど盛り沢山。


M女の責められている写真には目もくれず…
女王様とM男の記事に釘付けでした。
1日に、何度も何度も…
その写真を見ては、気が狂ったように自慰に更けました。


普通の思春期の少年が、女性の身体に興味をそそられる前に…
ましてや、まだ経験せぬSEXへの興味を感じる前に…
SMに出会ってしまったのです。


このSM誌は…。
ＳＭが何であるか、そして、自分はマゾなんだと気づかせてくれた雑誌。
私にとっての強烈なバイブルとなりました。


その後、高校生になるまで、擦り切れるほど隅から隅まで読みました。
が、大学生活を送る為に上京する時の引越しの際に消失。
最近になってオークションで同誌を入手。
今でも、この雑誌は私のバイブルなのです。