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22歳 3月 vol.2

『おいたち』

『それはそうと、おまえは来月入社式なのよね?』

『は、はい!4月の1日に入社式です。』

『まだ新入社員では、お給料も少ないのでしょうね。』

『は、はい…でも、会社に内緒で、アルバイトは続けようかと思ってます。』

『あら?働き者ね!ふっふ。会社の仕事に支障をきたすのではなくて?』

『その時は、その時で考えます。』
《奈美様は、何をおっしゃりたいのだろう?》

『ふっふふ。そうなの。実は私、今考えている事があるのよ。
ホントはね。おまえの入社式に間に合わせようと思ったのですけど…』

『はい…』

『私も、今はあまり時間が取れませんの。もう少し先になれば時間が空きます。
そうしたらね…。』

『はい…。』
お時間が無いにも関わらず、ボクの為にわざわざ時間を割いてくださってるのか…。
申し訳ない気持ちでした。

『失礼なお話になるけれど…おまえの会社、ボーナスは1年目から出るのかしら?使い道は決まってて?』

『は、はい…わずかですが、出ると聞いてます。特に使い道は決めておりません。』

『ご両親にプレゼント…あら!ごめんなさい!おまえ…複雑な家庭でしたわね。
私とした事が…気を悪くしないでちょうだいね。』

自分のおいたちや今までの変態行為などは、2回目の御調教を授かる時に、ノートに纏めて書いてありました。
奈美様がボクの事をご存知なのはその為です。

実は…ボクは…
幼い頃は、母親と呼べる人と2人暮らし。
その母親も、小学生の時にどこかへ行ってしまい、親戚に預けられました。
よくある話の不幸の典型ですが、親戚中たらい回しにされ続けました。
中学、高校と、新聞配達の住み込みの仕事をしながら学校へ。
大学も新聞配達を続けながら、1人暮らしを始め…空いた時間をアルバイトしていました。
この頃になると、親戚付き合いも疎遠になり…いわゆる天涯孤独でした。
もっとも…新聞配達のみなさんや、アルバイトの仲間、学校の友達など実にイイ方ばかりで、寂しさは感じませんでした。

幼い頃の影響で、女装やSMに走ったのも、現実から逃避する術だったのかもしれません。
一人の寂しさを紛らわす為の…
素質は産まれ持ってあったのかもしれませんが、磨かれたのはこの時期に間違いありません。
人間、このような状況に置かれると、不幸を絵に描いたような顔になってしまうようですが…
女装やSMの趣味に没頭していたせいか(?)、不幸とは無縁の顔をしております。
童顔のままいられたのは、幼い頃から覚えたSMのおかげかもしれません。
非行に走らなかったのもSMのおかげです。

SMとゆう世界があったからこそ奈美様に巡り会い…。
愛を覚え、大切なモノを知りました。
奈美様に育てていただいたと言い切れる、今のボクを…
これで信じていただけるのではないでしょうか?

余談になって申し訳ありませんでした。

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