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22歳 4月 vol.5

アドバイス
婦人警官のアドバイスは続きます。

『あなたの姿を見かけたら…変質者に限らず、誰かに襲われないという保障はありませんからよ。』

『は、はい…申し訳ありません。』

『ファッションを楽しまれるのは自由ですが…
時と場所を選びませんと、変質者は何をするかわかりません。』

『あ、アドバイス、あ、ありがとうございます』

『いえ。職務上、ご注意しただけです。では、これからはお気をつけてください。』

『は、はい…』

婦警さんが敬礼をされ、立ち去ったのを見届けると…
御調教部屋のお部屋番号が書いてある駐輪スペースに自転車を停めました。

《早く御調教部屋に行かなければ…》
すると…再び後ろから声がします。

『あの…』

《ドキッ!》
もう怖くて振り向く事なんかできませんでした。
驚きのあまりその場に座り込んでしまいました。
声の主は、立ち去ったハズの婦人警官のようです。

《やっぱり、ボクが露出狂の犯人だと疑われているのか…?》

『あの…失礼なんですが、何階のどちらのお部屋に御用なんですか?
念の為にお願いします。』

『は、8階の2号室です…な、奈美…い、いえ!…レイ様のお部屋へ…』

『失礼しました。○○レイさんですね。○○レイさんにはいつもご協力いただいてます。
何度もお呼び止めして申し訳ありません。
一応、警察官の義務として伺っただけです。気を悪くなさらないでください。』

敬礼をしているような服の擦れる音がし…
今度こそ本当にマンションの外に出ていく足音が聞こえました。
こんな真夜中に、何度も何度も、不意打ちされるように声をかけられれば…
例え相手が気を許した相手だって驚かないハズはありません!
やっとの思いで、抜かした腰を四つんばいに立て直しました。

怖かったです。
あの不合格の日の悪夢が蘇ってきます。
あの日も、迎え来る恐怖に怯えきっていましたが…。
きょうの恐怖とは比べものになりません。
ここへ向かう途中の車からの冷やかしや、今の婦人警官からの質問攻め。
これから全裸で乗り込まなければならないのエレベーター。
そして最後に待つのは…面接と言われる人生への賭け。
恐怖感が、年輪を重ねた大木のように幾重にも重なり…
気弱なボクの心は押し潰されてしまいそうです。
震えが…震えが止まらないのです。
恐怖で震えた事など、奈美様にお会いするまで経験したことなんてありませんでした。

安物のデジタル腕時計を見ると、既にPM11:50を回っていました。
辺りを見回しながら、着ている物を素早く脱いで全裸になりました。
衣裳を丁寧にたたみ、持参したバックに入れて指定された花壇へ。
バックの中身は…
お財布や、奈美様にはやらなくていいと言われた精液採取の成果と御調教レポートも入っています。
無駄に終わるのは分かっていましたが持ってきてしまいました。

もともと腰を抜かしたのもあるのでしょうが…
人間のように2本足で歩く事はできませんでした。
四つ足で屈みながら花壇のある場所へ歩み寄ります。
花壇は…。
あの時とは違っていました。
身を潜めていた花壇には…満々と水が張られていました。
玄関ホールの灯りに照らされた水の中は透き通っており、花壇の底まで見えています。

《バックを濡らしてしまう…》
そんな風に思っていても迷っている時間はありません!
お約束のタイムリミットまで15分を切っているのです。
バックが中々沈まないので、チャックを開けて水を含ませて底へ押し込みます。
着てきた衣装、ノート、お財布も水浸しです。

すると…
花壇の底の方…。
重石の下に赤い物が見えました。
不思議に思い取り出して見ると…。
それは奈美様からいただいた首輪でした。
御調教中に着けていた首輪が、花壇の水底に置かれていたのです。
その首輪には黒マジックで…
《ゴミ用》とハッキリ書かれてありました。

一度は逃げようとした決意を翻したのは…
奈美様にお会いしたいが為の《恋心》だと申しました。
お顔を拝見できれば満足だと…。
しかし奈美様におかれては、ボクの自分勝手な《恋心》など知る訳もなく…。
お知りになられた所で、ゴミと罵られる生きものの《恋心》など御迷惑なお話で…。
奈美様にとっての現実は《面接》の為だけにあるのです。
ボクの《恋心》は、現実逃避の末にたどり着いた自分勝手な妄想だったのです。

《逃げれば良かった…》

ボクの《恋心》は…
《面接》と言う現実に打ち砕かれてしまいました。
既にバックや衣類を水底に沈めた以上、後戻りはできません。
濡れた首輪を自らの首に装着して、玄関ホールに向かうしかなかったのです。

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