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22歳 4月 vol.24

暗闇
ドアの隙間から外の明かりが洩れてくる気配もなく…
監禁室(お風呂場)は真っ暗で、不気味なくらい静かでした。
特殊な防音もされており、お部屋の中の音も聞こえてきません。
この中でどれだけ叫んでも、外へ音が漏れる事は一切ありません。
一切の光も音も遮断され…
天井に設置してある通気孔のわずかなモーター音(ファン)が聞こえる程度。
空気は送り込まれているものの息苦しさを感じ…
また、光も音も全く届かない暗闇が恐怖を掻き立てられます。
何時間もこの監禁室に閉じ込められていると…
その無機質なモーター音が不気味に感じられます。



奈美様はすぐにお戻りになられ…。
手には買い物用の紙袋と…
精液を拭いた下着を持っておいででした。
紙袋をボクの頭にスッポリと被せ…
下着をボクの口に捻込むのです。
少し時間を置いたせいなのでしょうか?
精液のむせ返る味が口一杯に広がります。
そして…泣きじゃくるボクを涼しげに見下ろされ…



『おまえの泣き顔は見たくないわ!
警察の方が来るまで被ってらっしゃい!』
と言われました。
ストッキングの枷を口にしているので大きな声にはならないものの…
唸るような泣き声は止まず、涙は次から次へと紙袋を濡らします。
《ピッ、ピッ、ピッ、ピッ…》
扉付近でコードレスフォンのダイヤルを押す音が聞こえてきました。



『もしもしN警察ですか?
私、Y町の○○ビルの○○レイと申しますが…
防犯課の斉藤さんはいらっしゃいますでしょうか?』
奈美様はあの婦警さんを呼ばれるのでしょう。
ボクを…ボクを…本当に警察に突き出されるつもりです。
奈美様の事ですから、ご冗談や嘘でない事は理解していましたが…。
警察が来たら、ボクは完全に囚われの身…
証拠品テープまで押さえられ為すすべはありません。



『○○さんですか?以前お世話になった○○レイです。
こんな夜分に申し訳ありません。
実は、例の変質者を捕まえて、お風呂場に閉じ込めましたの。
恐いのですぐ来てください。お願いです。』
奈美様は声を震わせるお芝居をなさり…
用件を伝えると電話をお切りになりました。
そして…


『ねぇ、バイキン!今すぐ警察が来てくださるようですわ!
いよいよお別れですわね。ふっふ!』

『…。』
枷をしている為に何も言えません。
唸るように泣くだけです。

『このお部屋の暗闇が恐かったのかしら?
泣きながら震えてるの?愚かね。子供じゃあるましし。ふっふ!』

再び…体が震えはじめていました。
頭の中が冷静ではなかったので、恐怖の震えか?マゾ奮えか?
自分でも、自分の体を襲う震えの判断がつきません。

『まぁ!ペニス様!あなたまで怖さで縮こまる事はございませんわ!
ペニス様はいつでもご立派でいてくださらないと!』

いつの間にかペニスも縮こまっているようでした。
もう何もかも…自分で判断ができなくなっていました。
精神も肉体もボロボロです。

『ペニス様!心配なさらないで!
私ね。ただ待っているもつまらないので…
警察が来るまでの間、私の奴隷達にご奉仕させようと思うの。
ペニス様だけにその模様を想像させてあげるわ!
奴隷達が私の聖域を奉仕させている所や…
奴隷の奉仕に喜びの声をあげて体を仰け反ってる所…
存分に想像して楽しんでちょうだい!』

奈美様のお言葉を伺い…
意地でも奈美様の痴態を想像しないようにしていましたが…
やはり、別人格のペニスには通用しません。
ペニス様と呼ばれる別人格のボクのペニスは…
ビグンビグンと脈打ち、嬉々として喜こんでいました。



監禁室のドアが締まり、再び真っ暗闇の世界でした。
普通に暮らしていれば、こんな暗闇に遭遇する事はまず無いでしょう。
電信柱の街頭や、自動販売機の明かりなどは街中に溢れています。
ボクが幼い頃住んでいた田舎町でさえ…
月明かりや星明かりの小さな明かりでも、ホッとするような安堵感はあったものです。
真っ暗闇に加え、音が全く聞こえない部屋。
ボクの泣き声だけが、籠もるように響いていました。
五感と言われる機能の視覚と聴覚を同時に奪われ…
口は塞がれ、体も拘束される恐怖。



それともう一つ。
一番恐怖心を煽ったのは時間の概念が無くなる事でした。
冷静な状態で閉じ込められたら、時間の概念など関係なく思えるのでしょうが…
光も音のない所で長時間放置されたら、間違いなく感覚は鈍ります。
ボクの場合は、これから警察に突き出される身の上であり…。
それ以上に…奈美様に捨てられる事実に冷静ではいられませんでした。
1秒がどれだけ長いのか、1分がどんなに永遠かを思い知りました。
もしかしたら…永遠にこのままなのではないかと何度も思いました。



何分か経った頃(実際は10、15分くらいでしょうか?)…
耳を澄ませていると、換気孔のモーター音と共に…
天井付近から人の話声らしき音が聞こえました。
これだけ設備の整った監禁室で人の話声が聞こえるなどありえないのに…。
しかしそれは錯覚…幻聴が聞こえるようになってしまったのです。
脳の奥で繰り広げられている奴隷達への嫉妬が…
《想像なさい》と言われた言葉との戦いに敗れ…
無機質なモーター音を、奈美様の喜びの声の幻聴として勘違いしてしまったのです。



奴隷達への嫉妬に狂えば狂うほど、いやらしい妄想も膨らみました。
想像の中の奈美様はとても大胆で…
3人の奴隷達を存分に楽しんでおられます。
ボクの存在は記憶の彼方に忘れ去られているようです。
あの奴隷達に対して…憎悪以上の殺したい嫉妬が湧けば湧くほど…
奴隷達は奈美様を喜ばせ…強いては奴隷達にも、御奉仕の喜びを与えているように感じます。
その妄想にペニスは素直に反応し、コックの痛みなど無視して勃起しています。
心と体、体と脳、脳と心があまりにもアンバランスな状態を…
この暗闇の監禁室は演出し続けるのです。




この御調教室は完璧です。
サークルの要望を全て満たし、サークルの威信をかけて作られた、いわば要塞です。
会員限定のショーや、奴隷市に参加された方の間では有名なお部屋でした。
SMクラブとしてはあまりメジャーな活動はしておらず…
サークルの活動が主な利用目的だったので、極稀のMさんだと思いますけど…。
SMクラブとして営業されていた時には…
古いMのみなさんなら訪ねていらっやる方もおいでかもしれません。

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